セルフビルドという選択肢を本気で支える設計事務所
長野県松本市に拠点を置く株式会社河瀬建築研究室 ks-laboは、住宅・店舗・別荘の設計からリノベーションまでを手がける一級建築士事務所である。中でも注目したいのが、施主自身が内装工事などに参加する「セルフビルド・ハーフビルド」という仕組みだ。基礎や構造といった専門性の高い工程はプロが担い、それ以外を施主が手がけることで建築コストを抑えられる。設計段階からスタッフが伴走し、技術指導や安全管理を継続的にフォローしている。
個人的には、この「つくる過程ごと届ける」という発想が印象的だった。住宅を完成品として受け取るのではなく、自分の手で壁を塗り、棚を取りつけるという体験そのものが住まいへの愛着につながるという考え方は、建築の枠を超えている。困難な作業にはスタッフが直接入るため、品質面での不安が小さいという声も聞かれる。完成した家に対する満足度の高さは、この独自の建築プロセスと無関係ではないだろう。
暮らし方から逆算する設計プロセス
株式会社河瀬建築研究室 ks-laboの設計は、間取りや外観のヒアリングから始まるわけではない。施主がどんな時間の過ごし方をしたいのか、日常の動線や将来の家族構成の変化まで掘り下げた対話が起点になる。画一的なプランを当てはめるのではなく、一棟ごとに異なる暮らしの輪郭を描き出す進め方だ。一級建築士としての専門知識が、こうした丁寧なやりとりを設計図面へ落とし込む段階で生きてくる。
新築住宅の標準工期はおよそ6か月。リフォームやリノベーションでは工事規模に応じて数週間から数か月と幅を持たせ、施主の生活リズムに合わせたスケジュール調整を行っている。店舗設計の領域では、業種ごとの集客動線や運営効率まで踏まえた提案が求められるが、現地調査に基づく詳細な分析をもとにプロジェクト計画を組み立てている。工期と品質の両立を意識した進行管理は、過去の施工経験の蓄積に裏打ちされたものだ。
距離や時間の壁を取り払う相談体制
ZoomやメールといったITツールを使ったオンライン相談に対応しており、松本市から離れた場所に住んでいても設計の打ち合わせを進められる。別荘の計画で遠方から依頼するケースや、仕事が忙しく現地に通う時間が取りにくい施主にとって、この仕組みは実用的だ。初回の相談もオンラインで受け付けているため、まだ具体的なプランが固まっていない段階でも気軽にコンタクトを取れる。
「最初はメールで漠然とした相談をしただけなのに、丁寧に返答をもらえた」という利用者の声が目立つ。よくある質問への回答もあらかじめ整理されており、セルフビルドの進め方や費用構成の考え方など、検討初期に知りたい情報へすぐアクセスできる。地理的な制約がハードルになりがちな建築相談において、こうした間口の広さは依頼先を選ぶ際の判断材料になると感じる利用者も多い。
ブログ発信に見る知識の開放姿勢
株式会社河瀬建築研究室 ks-laboはブログを通じて、施工事例や建築にまつわる実践的な知識を定期的に公開している。新築・リフォームを考え始めた人が判断材料にできるよう、専門用語をかみ砕いた記事が並ぶ。営業活動のレポートや施工技術の最新動向にも触れており、事務所の日常的な動きが見える構成になっている。情報を囲い込まず外に出していく姿勢は、施主との関係づくりにおいて地味ながら効いてくる部分だろう。
たとえばハーフビルドの具体的な工程や、工期設定の根拠、費用の内訳といったテーマは、他の設計事務所のサイトではなかなか見かけない踏み込んだ内容だ。こうした透明性の高い情報提供が、初回相談前の不安を和らげる役割を果たしている。建築プロジェクトに踏み出すかどうか迷っている段階の人にとって、事前に読める情報があるかないかで心理的な距離はかなり変わる。


